視野がかける(視野欠損)・一部が黒く見える
視野欠損を生じる病気には、実にさまざまな病気があり、緊急性の高いものから緊急性の低いものまであります。気をつけたいことは、視野欠損は、周辺部にとどまっている限り、気がつきにくいと言うことです。
真ん中、または真ん中付近の視野欠損(暗点)は気がつきやすいのですが、視野欠損の無い反対側の眼の視野がカバーして気がつかないこともあります。左右の片方の眼だけでカレンダーなどを見ていただくと気がつきやすくなります。
緊急性の高い視野欠損
網膜剥離
網膜の端に孔が開き(網膜裂孔)、眼の中の水(硝子体液)が網膜の下に入って、どんどん網膜剥離が広がります。
網膜が剥離すると土台から酸素や栄養を受け取れなくなって見えなくなります。
網膜の真ん中(黄斑)にまで剥離が到達すると視力が低下します。視力が障害される前に発見したいものです。
網膜に孔が開いたときは、飛蚊症や光視症が発見の手がかりになります。
網膜動脈閉塞症
網膜動脈はたった1本が眼に入ってきます。
網膜中心動脈といいます。網膜中心動脈が完全閉塞すると、もはや視野欠損というレベルでは無く、視機能が壊滅的なダメージを負います。
一方、網膜中心動脈の枝が閉塞すると視野の上方または下方が急激に欠損しますが、視力は残ります。
いずれも閉塞して2時間以内なら眼圧を下げる処置として眼球マッサージや眼の中の水を抜く処置(パラセン)の効果が期待できますが、時間が経ってしまうと視野はもどりません。
脳梗塞
網膜中心動脈閉塞症や網膜中心動脈分枝閉塞症になるということは、眼の動脈を閉塞させる血栓が体のどこかで作られていることが問題です。
多くは心臓の不整脈で血液が心臓で滞り血栓ができるか、頚動脈にできた動脈狭窄(プラーク)が血栓の原因です。
血栓は、脳へ行くと脳梗塞を引き起こします。網膜中心動脈閉塞症や網膜中心動脈分枝閉塞症になるということは、全身の緊急事態(アラート状態)であると考えましょう。
眼が教えてくれている声に耳を傾け、体の精密検査を受け命を守りましょう。
急性緑内障発作
何らかの原因で、閉塞偶角緑内障を発症し、眼圧が急上昇して、眼の痛み・頭痛・吐き気・嘔吐・霧視(むし:かすみ目)などの症状を起こすことがあります。これを急性緑内障発作といいます。症状によっては一晩で失明してしまう可能性があります。また、症状から初期診断では頭の病気と間違われる場合があり、治療が遅れてしまう可能性があります。
急性緑内障発作は、できるだけ早急な治療が必要となります。(当院の緑内障治療)
治療には、即効性のある薬剤もしくは点滴を使い発作を抑制したり、レーザー虹彩切開術もしくは周辺虹彩切除術(PI)、白内障を併発している場合は、白内障手術を実施します。(当院の白内障手術)
急性緑内障発作を片方の眼で起こした場合、もう片方の眼でも発症する危険性があるので、レーザー治療や手術療法を予防的に実施します。
緊急性の低い視野欠損
緑内障
緑内障は視野欠損が起きる病気として最も有名ですが、その進行はきわめてゆっくりです(年単位で進む)。 通常は中心から離れた視野から障害されますので気がつきにくいのですが、最近は中心近くから障害されるケースが増えており、気づきやすい反面視力への影響があるため要注意です。 なかには急激に眼圧が上昇して視神経を傷つけ視野欠損が速く進むケースがあります。 若い頃メガネいらずの人に起きる急性緑内障発作は日単位で視野欠損が進みますが、眼の痛みで気がつきます。痛みが無く月単位で視野欠損が進む慢性閉塞隅角緑内障は発見が遅れ末期で見つかることも多い恐い病気です。
網膜色素変性症
視野欠損は周辺から始まり中心に向かって進みます。周辺の視野欠損は気がつきにくく、むしろ夜暗いところで見えにくい自覚(夜盲症)で発見されることが多いのです。進行の速さは個人差が大きいですが、速くても年単位で進む進行の遅い病気です。残念ながら効果的な治療はまだありませんが、世界中で治療法の開発が進んでいます。